光造形3Dプリンターのプロセスとは?
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2022年7月27日
目次
光造形3Dプリンターを使って造形物を作成する際、どのように造形物を作り上げるのか光造形3Dプリンターを用いた際のプロセスについてご紹介します。
光造形3Dプリンターはレーザまたはプロジェクターを用いて光硬化性樹脂を固化させることで、立体物を形成していく方法になります。
詳しくは、光造形3Dプリンターの種類や詳しい動作原理などは、「光造形3Dプリンターとは?」という記事を書いているのでぜひご確認ください!
光造形3Dプリンターの手順
光造形3Dプリンターを使った造形物の製造手順は主に以下のようになります。
- 3Dデータの作成
- スライサーソフトを用いてサポート付きデータの作成
- レジンを投入し造形開始
- 造形
- 造形物の取り出し
- 洗浄
- 2次硬化
- 研磨
- 完成
わかりやすく理解いただけるよう、詳しく説明していきます。
光造形手順①: 3Dデータの作成
まず初めに造形したい3Dデータの作成を行います。必要なデータはCADソフトや3Dモデリングソフトなどを用いて作成します。初めて作る方は、Skechfabなどで3Dデータを購入するのも良いかと思います。
光造形手順②:スライサーソフトを用いてサポート付きデータの作成
ここからが光造形3Dプリンター特有の工程になっていきます。光造形では造形物が正しく造形できるよう、サポートを作成する必要があります。サポートは本体の造形物を支える(=サポートする)役割を持ちます。
サポートはChitubox などのソフトを用いて、サポート付きデータを作成します。サポートの太さや長さ、厚さなどは造形機やレジン材料によって大きく異なります。レジンを販売する会社がサポートの条件を開示している場合もありますが、時には自分たちで条件出しをする必要があります。
サポート付きのデータが作成できたら、造形時に必要な各種パラメータを設定します。一部を紹介すると、
- 1層ごとの露光時間:1層ごとにUVを露光する時間です。
- 初期層の厚さ及び露光時間:ビルドプレートと密着力を高めるため、造形初期の層は一般的に露光時間を長く設定します。その初期層の数や露光時間を設定します。
このように、造形条件もスライサーソフト上で設定したらデータを出力します。これで手順②は全て完了になります。
光造形手順③:レジンを投入し造形開始
データの作成が終わったら、光造形3Dプリンターにそのデータを移します。その後、造形に用いるレジン材料を光造形3Dプリンターへ投入し、造形を開始します。
光造形手順④:造形
造形が完了するまでは基本的するはありません。造形が完了するまで待ち時間になります。
1層ごとの露光時間や造形物の大きさによってその条件は異なりますが、一般には数時間から24時間程度の造形時間がかかります。
光造形手順⑤:造形物の取り出し
造形が完了したら取り出しです。ビルドプレートから造形物をはずして洗浄の準備をします。ビルドプレートはレジンが付着しているので、IPA(イソプロピルアルコール)などで洗浄します。
光造形手順⑥:洗浄
取り出した造形物を洗浄します。造形後も出来上がった造形物の表面には硬化していないレジンが付着しており、このレジンをIPAなど有機溶剤を用いて除去します。硬化前のレジンは人体に影響があるため、手袋を装着して作業することが一般的です。
光造形手順⑦:2次硬化
洗浄が完了したら、造形物に再度紫外線を照射します。光造形3Dプリンターで造形した直後は、まだ半分ナマのような状態であり、再度紫外線を照射することでしっかりと硬化した状態になり、カタログ通りの物性を出すことができます。
ここで造形物本体についているサポートをニッパーなど工具を用いて取り外します。洗浄前にサポートを取り外すことも可能です。ただ、2次硬化後にサポートを取り外した方が、造形物の形状が元の3Dデータ通りでやすいということも聞くため、本記事では2次硬化後に取り外しと記載しています。
光造形手順⑧:研磨
2次硬化の作業が終わると素手で触ることができます。光造形により出来上がった造形物の表面は、SLS(粉末焼結方式)やFDM(熱溶融方式)と比べると、非常に綺麗な仕上がりになりますが、サポートがついていた場所はバリがついていたりするため、必要に応じて研磨を行います。
光造形手順⑨:完成
以上で完成になります。光造形3Dプリンターで造形を行うと、サポートの設置や有機溶剤を用いた洗浄、2次硬化といったプロセスが必要になります。特に、有機溶剤の使用は、「設備設置」「廃液処理」「作業環境の最適化」「健康診断等作業者への配慮」などが必要になってくるため、光造形導入を検討されている場合は、これら制約についてもご検討ください。
まとめ(光造形3Dプリンターの手順)
光造形3Dプリンターの操作手順をご紹介しました。光造形3Dプリンターを実際どのように操作すればよいかご理解いただけましたでしょうか。