FDM3Dプリンターのメリット・デメリットとは?
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2023年6月25日
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3Dプリンティングは、製造業から教育まで様々な分野で活用され、さらには日々新しい技術革新によって新機種が登場しています。樹脂を造形する3Dプリンターにはいくつかの種類がありますが、今回はその中でも「FDM (熱溶融方式)」に着目して、FDM3Dプリンターのメリット・デメリットをまとめてみます。FDM方式の3Dプリンターはその手軽さと低コストから、個人から企業まで幅広く利用されています。一方でデメリットも存在しており、本記事では、FDM 3Dプリンターのメリットとデメリットを詳しく解説します。
FDM3Dプリンターのメリット
まずは、FDM方式3Dプリンターのメリットからご紹介します。大きく4つのメリットを挙げてみました。
メリット1:低コスト
FDM 3Dプリンターは、他の3Dプリンティング技術(SLA(光造形)方式やSLS(粉末焼結)方式)と比較して初期投資と運用コストが低いです。これは、いくつか理由があり、
①FDMプリンターの材料として一般的に使用されるプラスチックフィラメントが比較的安価であること
②有機溶剤・薬品は使用せず、さらに大掛かりな付帯設備も不要であること
③家庭用の100V電源で利用可能であること
などが挙げられます。自宅もホビー用として簡単に利用することができます。初期投資、ランニングコストともにかなり低く抑えることができます。
メリット2:扱いやすい
FDM 3Dプリンターは操作が直感的で、初心者でも短時間で使い方を覚えることができます。また、多くのFDM 3Dプリンターはプリント開始前の設定が簡単で、フィラメント(材料)をセットし、作成した3Dモデルを専用ソフトにインポートしてボタンを押せば造形開始できます。他の造形方式の3Dプリンターでは、造形前の材料セットが複雑であったり、専用の設備や専用服に着替えてマスクをして作業するなどの工程が必要になります。家庭でも簡単に使用できるのがFDM方式の大きな特徴でしょう。
メリット3:耐久性が比較的強い
材料の選択に依存するところになりますが、ABSやPC(ポリカーボネード)、カーボン入り材料を造形することができ、比較的耐久性の優れた造形物を作ることができます。プロトタイピングを超え、最終製品での活用が始まっているのは、耐久性のある製品を製造できるようになってきたことが理由の1つとして挙げられると思います。
メリット4:多彩なカラーバリエーション
FDM方式は様々な色のフィラメント(材料)を同時に扱うことができ、カラフルな造形物を1回で造形することができます。SLA, SLSですと、造形物に対して選択できる材料のカラーは1色であることが多いです。しかしながら、FDMではカラフルな造形物を簡単に造形できる特徴があります。
FDM3Dプリンターのデメリット
FMD3Dプリンターのデメリットや注意すべき点についてご紹介します。そのデメリット解決方法についてもご紹介します。
デメリット1:積層痕が見える・解像度が低い
FDM 3Dプリンターは、他の3Dプリンティング技術(例えば、SLAやSLS)と比較して、精度と解像度が低い傾向があります。これは、FDM 3Dプリンターがフィラメントを層状に積み重ねて造形するため、細かいディテールの再現や滑らかな表面の作成が難しいためです。積層痕がはっきりと見える場合が多いのものFDM方式の特徴かと思います。しかしながら、造形する際のノズル(材料の出口)の径を小さくすることで、1層あたりの高さが小さくなり、造形の仕上がりをより綺麗にすることができます。また、材料や3Dプリンターよってその仕上がりが変わり、温度などの調整を行えばかなり綺麗な仕上がりにすることもできます。
デメリット2:サポートが必要
FDM 3Dプリンターでは、オーバーハング(空中に突き出た部分)やブリッジ(二点間を結ぶ部分)を造形する際に、サポート構造が必要となります。これらのサポート構造は後で取り除く必要があり、その過程でパーツが損傷する可能性があるほか、サポートがついていた部分は仕上がりが汚くなる場合があり、研磨などが必要になるかもしれません。造形する際にモデルの向きを工夫することで綺麗に造形することも可能ではあります。
デメリット3:後処理が必要
FDM 3Dプリンターで作成されたパーツは、造形後にサポート構造の除去や表面の仕上げなど、後処理が必要となることが多いです。これは、時間と労力を必要とし、パーツの品質に影響を与える可能性があります。最近では、表面処理時に溶剤を使って簡単にバリ取りをする機械が出てきたりもしています。また、筆者が実際に触っている最新機種の3Dプリンターはかなり表面を綺麗にプリントができるため、簡単な研磨のみで十分に綺麗なものが出来上がるFDMプリンターができてきているのも事実です。
【まとめ】FDM3Dプリンターのメリット・デメリット
メリット:
- 低コスト:材料、初期投資ともに安価。
- 扱いやすい:自宅でも簡単に扱える。初心者でも使える。
- 耐久性が比較的強い:適切な材料を選択すれば、耐久性のある製品を作成可能。
- 多彩なカラーバリエーション:カラー造形が可能。
デメリット:
- 積層痕が見える・解像度が低い。
- サポートが必要。
- 後処理が必要。
FDM方式は、家庭で初心者が簡単に扱えるプリンターであります。初期投資、ランニングコストを下げて、カラフルな造形物を作ることができます。一方で、仕上がりが若干悪く、後処理が求められることがデメリットとして挙げられるでしょう。
これら特徴を踏まえて、購入を検討してみてください。