プリンターガイド【2024年版】FDMプリンターおすすめ4選
3Dプリンターは、個人のホビー制作やプロトタイピングなど、様々な分野で急速に普及が進んでいます。特にデスクトップ型の3Dプリンターは、3Dデータさえ準備できれば造形作業自体は比較的シンプルで、メンテナンス性も向上しているため、個人利用にも適しています。
しかし、初めて3Dプリンターを検討する際、熱溶解積層方式(FFF・FDM)や光造形方式(SLA)といった異なる造形方式の存在や、多様なメーカー・価格帯の選択肢に戸惑う方も多いと思います。
理想的な家庭用3Dプリンターとは、「簡単な操作性と準備、コンパクトな設置性を備え、安定した造形品質を実現できる機器」と言えます。本記事では、筆者がおすすめする家庭用3Dプリンターを特に熱溶解積層方式(FFF・FDM)に絞って厳選し、ご紹介させていただきます!
また、実際の使用シーンを想定した選定のポイントについても解説していますので、購入を検討される際の参考にしていただければ幸いです。
そもそも3Dプリンターの選び方とは?
FDM方式の3Dプリンターを選ぶときは、以下の観点で3Dプリンターを見つけていくと良いと思います!
- 造形サイズ
- 印刷精度やレイヤーの厚み
- 対応しているノズル径
- ノズル温度・ステージ温度・環境温度
- 造形速度
- 価格
それぞれどのようにして見ていけば良いか解説していきます。
1. 造形サイズの選び方
造形サイズは用途によって大きく変わってきます。大きすぎても設置場所に困りますし、小さすぎても作りたいものが作れない可能性があります。
一般的な造形サイズの目安
- 小型(120mm×120mm×120mm程度)
- メリット:設置場所を取らない、初期費用が抑えられる
- デメリット:大きなものを作る際は分割して造形物を作成する必要がある
- 用途:フィギュアや小物制作
- 中型(200mm×200mm×200mm程度)
- メリット:多くの用途に対応可能、スピードが早い機種も多い
- デメリット:費用面
- 用途:一般的な造形物全般
- 大型(300mm×300mm×300mm以上)
- メリット:大きな造形物を一体で作成可能
- デメリット:設置スペース、費用が上がる、印刷時間の増加、精度が落ちる
- 用途:プロトタイプ、大型造形物
選び方のポイント
- 作りたいものの最大サイズを確認
- 3Dプリンターを設置可能なスペースを確認(本体サイズと造形サイズは違うので注意!)
- 予算や将来的な用途も考慮
2. 印刷精度とレイヤー(層)の厚み
印刷精度は完成品の品質を左右する重要な要素です。
レイヤー(層)の厚み
- 極細(0.05mm)
- 用途:精密な造形、見た目重視の完成品
- 注意点:印刷時間が大幅に増加してしまう
- 標準(0.1-0.2mm)
- 用途:一般的な造形物(よく0.2mmが使われたりします)
- バランス:品質と印刷時間のバランスが良好
- 粗め(0.3mm以上)
- 用途:試作品、ラフな確認用
- メリット:印刷時間を大幅短縮することができます
XY軸の精度
- 一般的な精度:±0.1mm
- 高精度:±0.05mm以下
選び方のポイント
- 作りたいものに対して求める精度を確認
- 表面の精度を求める場合は、高精度(±0.05mm以下)で、レイヤーの厚みの小さくできるものを選定する
- FDM方式の限界はあるので、仕上がりだけを求めるならば、SLA・DLPなど光造形方式も検討
3. 対応ノズル径
ノズル径は印刷速度と精度のバランスに大きく影響します。
一般的なノズル径
- 0.2mm:極細部品、精密造形
- 0.4mm:標準的な造形(最も汎用的)
- 0.6mm:大きな造形物、強度重視
- 0.8mm以上:超高速造形、ラフな造形
選び方のポイント
- 交換可能なノズル半径がどのくらいか
- 純正ノズルの入手性
- サードパーティ製ノズルの使用可否
4. 温度管理機能
温度管理は造形の成功率に直結する重要な要素です。
ノズル温度
- PLA:180-220℃
- PETG:220-250℃
- ABS:220-270℃
- 特殊フィラメント:300℃以上
重要な確認ポイント:
- 最高到達温度
- 温度の安定性
- 温度センサーの精度
ステージ温度(ヒートベッド)
- PLA:50-60℃
- PETG:70-80℃
- ABS:90-110℃
確認すべき項目:
- 最高温度
- 温度の均一性
- 昇温速度
環境温度(チャンバー温度)
- エンクロージャーの有無
- 温度管理機能の有無
- 断熱性能
5. 造形速度
造形速度は生産性に直結します。
速度の要素
- 移動速度:30-300mm/s
- 造形速度:20-150mm/s
- 初期レイヤー速度:15-30mm/s
考慮すべきポイント
- フレームの剛性
- ベルトの品質
- モーターの性能
- 制御基板の性能
6. 価格帯による特徴
予算に応じた選択肢を把握しましょう。
エントリークラス(3-5万円)
- 基本機能のみ
- 小型が中心
- メンテナンス性に難あり
- 初心者の学習用に最適
ミドルレンジ(5-15万円)
- 信頼性の向上
- 便利機能の搭載
- 中型サイズ中心
- 趣味用途に最適
ハイエンド(15万円以上)
- 高い信頼性
- 豊富な機能
- 大型造形対応
- 業務利用可能
以上、家庭用3Dプリンターの比較をご紹介してきました。初めての3Dプリンター選びでは、価格だけでなく、自分の使用目的や必要なスペック、そして維持費用まで考慮することが大切です。
特に初心者の方には、操作が比較的シンプルなエントリーモデルから始めることをお勧めします。3D造形の基本を学び、実際の使用感を体験することで、将来的なステップアップの方向性も見えてくるはずです。
また、本記事で紹介した機種以外にも、日々新しい製品が登場しています。メーカーのサポート体制や、ユーザーコミュニティの充実度なども、長く使い続ける上で重要なポイントとなります。
3Dプリンターは確かに初期投資が必要な機器ですが、自分のアイデアを形にできる喜びは、その投資に十分見合うものです。この記事が、皆様の理想的な3Dプリンター選びの一助となれば幸いです。